今回は言語の音声を学ぶときに必ず出てくるこちらの2つの言葉について紹介します。
言語の種類を2つに分類
では、開音節、閉音節がどういうものか?と、開音節化による日本語なまりの例を紹介しましょう。
目次
「開音節」「閉音節」について
まずは「開音節」と「閉音節」という言葉がどういうものを指すのかについて紹介します。
「開音節」「閉音節」とは?
開音節、閉音節というのはどんな「音節」で言葉が終わるのかを指します。
英語の単語を例に出してみましょう。
スペル | 発音記号 | |
---|---|---|
開音節 | data | /déɪtə/ |
閉音節 | date | /déɪt/ |
このなかの「発音記号」をご覧ください。
「data(データ)」の発音は母音「 ə 」で終わっていますが、「date(日付)」の発音は子音「 t 」で終わります(スペルでは「e」が付いているが発音しない)。
開音節、閉音節をわかりやすく定義すると次のようになります。
日本語 → 開音節言語・英語 → 閉音節言語
そして言語によって、「開音節が多い言語」「閉音節が多い言語」という傾向があります。
- 開音節が多い言語の例
- 日本語・イタリア語・スペイン語・ハワイ語・マオリ語
- 閉音節が多い言語の例
- 英語・中国語・韓国語・フランス語・ドイツ語
日本語は典型的な開音節言語になりますよ!
日本語の音の最小単位(参考:音素とは?)は「子音+母音」で「ひらがな1文字」であることからも、母音で終わる場合が圧倒的に多いと言えますよ。
「~です」の「す」が「 s 」の発音になったり、「撥音(ん)」や促音で終わる場合もあるため、全部が母音で終わるわけではありません。
開音節化による「日本語なまり」とは?
日本人が英語を話すとき、どうしても「日本語なまり(カタカナ英語)」になってしまいますよね?
実は、「開音節言語」と「閉音節言語」の違いが大きな原因なのです。
では、閉音節の開音節化による「日本語なまり」の例を見ていきましょう。
【NG1】子音で終わる単語に母音を追加してしまう
まず紹介する開音節による日本語なまりの例は、子音で終わる単語の語末に母音を追加することです。
「eat(食べる)」の例
たとえば「eat(食べる)」という単語で説明しましょう。
「eat」は子音の「 t 」で終わりますが、日本人にとっては発音しにくいですよね?
最後が子音で終わる……というのが気持ち悪いよな!
ところが、母音「 o 」を追加すると一気に発音しやすくなります。
日本語なまりの「イート」と英語の「eat」の音声の違いをお聞きください。
ちなみに、アメリカ英語の発音では /t/ の発音が消えますが、この例ではあえて発音しています。
発音記号で見てみると次のとおりです。
単語 | 発音記号 | |
---|---|---|
日本語なまりの発音 | イート | /iːto/ |
英語の発音 | eat | /iːt/ |
「閉音節」を「開音節」にすると伝わりづらい
このように、「eat」の発音に「 o 」を追加すると、日本人にとっては発音しやすくなります。
ところが、本来の発音からかけ離れすぎてしまい、逆に英語圏の人には伝わりづらくなってしまうのです。
子音で終わる単語の最後に母音を追加したくなりますが、グッとこらえらるように練習しましょう!
子音だけで終わるということについて詳しく知りたい場合は次の記事をご覧ください!
【NG2】子音+子音の発音に母音をはさんでしまう
2つ目に紹介する開音節による日本語なまりの例は、子音+子音の発音に母音をはさんでしまうこと。
日本人が子音が連続する「子音+子音」を発音するときには母音がはさまれ「子音+母音+子音+母音」に変化してしまいがちです。
たとえば「子ども」を意味する「child /t͡ʃaɪld/」を日本人が発音すると「チャイルド」になりますよね?
こちらの音声を聴き比べてください。
この発音をローマ字に直すと次のようになります。
日本語なまりをローマ字に
child → chairudo
このように「子音だけの部分」があるたびに母音をはさんでしまうと、かなり音声が違ってしまいます。
「 L 」の発音が「 R(ラ行)」の発音になるのも大きな変化ですが……。
こういう英語のことを「カタカナ英語」とも呼びます。
まとめ
「開音節」「閉音節」という言葉を知ることで、なぜ日本語なまりが作られるのかがわかったと思います。
そして、カタカナ英語が成立している理由を知っておくと英語の発音を練習するときに役に立つはずです。
日本語話者にとって「子音で終わる」……は落ち着かないかもしれませんが、慣れるので練習しましょう。
ちなみに音節(シラブル)ってなに?という場合はこちらの記事もご参考に!